



色白でスラっと伸びた端正なルックス。噛むとシャキシャキとした独特な柔らかい食感と、爽やかな香りが口いっぱいに広がります。初めて東京うどを食べた人はきっと、「これがあの“うど”なの?」と驚くに違いありません。この「東京うど」の秘密は日光を当てずに育てる栽培環境にあります。地面を深さ3~4メートルほど掘った「室(ムロ)」と呼ばれる穴蔵に、うどの元となる根株をふせこみ、遮光して育てることで、あくが少なく柔らかいうどに育ちます。この美味しさを、まずはそのまま生で味わってみてください。また、うどは食物繊維が豊富で低カロリー、利尿作用や血行促進、便秘改善などにも効果があると言われる優れた食材です。ぜひ、ご家庭の料理の一品に加えてみてはいかがですか?




東京うどは、柔らかくてアクが少なく、穂先から根元まですべて食べられます。穂先や枝は生でも味わえますし、茎は皮をむいてサラダにしたり、そのまま揚げ物にしたりできます。根元は混ぜご飯などにおすすめです。また固い皮の部分はきんぴらにすることで、独特の風味やシャキシャキ感を楽しむことができます。ほかにも、地元でポピュラーな食べ方といえば、サラダや肉巻きのほか、鍋や豚汁の具材にしても美味しいのだとか。残ったら新聞紙に包んでビニール袋に入れ、冷暗所もしくは冷蔵庫に保管すれば1週間ほど日持ちします。和・洋・中、どんな料理にも合わせやすいのも魅力です!



日本の伝統野菜、うど。東京での栽培は江戸時代の後期から始まったといわれています。当時の江戸っ子は初ガツオのように、うどの初物を楽しんだとか。立川で生産が始まったのは昭和20年代からで、室での栽培に地質が適していたことから盛んになりました。今では立川市をはじめ、小平市、国分寺市、武蔵野市、三鷹市、練馬区と様々な場所で生産されています。





地面に敷かれた毛布やゴザをめくると、現れたのは真っ暗な室。「ここで根付けから収穫までの作業を行っています」と教えてくれたのは、東京うどの生産歴23年の鈴木さん。「株を群馬の高冷地に送って、成長した根をこの室にふせこんで育てています。大変なのは温度管理です。17~18℃くらいの温度にキープしておかなければいけないので、室への出入りも最低限にしています。手間暇がかかりますが、その分たくさんの人にこの美味しさを味わって欲しい。どんな料理にも合うので、ご家庭で気軽に楽しんで欲しいですね」
